一般皮膚科
一般皮膚科
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹を繰り返し、アトピー素因(アレルギーをおこしやすい体質)をもつ体質の方にみられる疾患です。
治療についてですが、日本皮膚科学会診療ガイドラインに沿って、ステロイド外用やタクロリムス外用を使用します。また皮膚のバリア機能を保つために、普段からのスキンケアが重要になってきます。当クリニックでは、症状がおさまっても週2回程度は抗炎症薬を外用するプロアクティブ療法を推奨しています。
その他にも、どういったものに対してアレルギーがあるか調べたいとのご希望の方は、View39と呼ばれる血液検査で大まかにわかりますのでご相談ください。(当クリニックでは13歳以上の方の採血に限らせていただきます)
じんましんとは、突然皮膚の一部が赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、たいていは数十分から一日以内に跡かたなく消えてしまう病気のことです。
じんましんは詳細な検査にも関わらず、原因を特定することが難しいと言われています。特定の食品や薬剤を摂取した後5~30分程度で症状が起こり、それを繰り返すなどの場合はアレルギー性じんましんの可能性もありますので、ぜひご相談ください。
治療は抗ヒスタミン薬の内服薬が中心です。外用剤はかゆみを軽減できますが一時的と言われています。難治性の場合はステロイドの内服を使用しますが、重症の場合(皮疹が内服薬でなかなか治らない場合、呼吸困難を伴う場合)は提携の病院に紹介させていただきます。
加齢や、過度の洗いすぎなどの要因により皮脂が減少し、皮膚のバリア機能が失われるため外からの刺激をうけやすくなっている状態を指します。冬季、とくに乾燥しやすい時期に好発します。
乾燥時期には、保湿剤を外用することで予防効果を得られます。入浴後に保湿剤を使用すると効果的です。皮膚の炎症が強い場合やかゆみが強い場合は、ステロイド外用や抗アレルギー剤内服も使用します。
また生活習慣の改善も大切です。熱いお湯に長時間つからず、38℃から39℃にお湯の温度を設定してください。体を洗う際は、ボディーシャンプーを泡立てて使用すると、皮膚のバリア機能を失わずにすみます。
そして過度の冷暖房の使用は控えるようにしましょう。
皮膚炎をおこす虫として、蚊、ブヨ、ダニ、ハチ、毛虫などがよく知られています。虫刺さされによって生じる皮膚の症状には、かゆみと痛みがあります。
痛みはヒトの皮膚を噛んだり刺したりすることで生じ、かゆみは皮膚に注入された物質(毒成分や唾液腺物質)に対するアレルギ-反応によって生じると言われています。これらのアレルギー反応は、虫に刺された頻度やその人の体質によって個人差が大きいのが特徴です。
治療は、強めのステロイド外用剤を使用し、かゆみが強い場合には抗アレルギー剤使用も考慮します。
予防対策で大切なことは、衣類で防御することです。庭掃除をしたり、海や山に行くときには、ぜひ長袖、長ズボンの着用をお願いします。衣類の裾から虫が入り刺されることもありますので、袖口、裾はしっかりとガードしてください。
また一般的に虫よけ剤の持続時間は6から8時間と定義されていますが、発汗量の多いお子様には2時間ほどしたらつけ直すと効果的と言われています。アトピー性皮膚炎など皮膚に症状がある方は、外用剤や保湿剤を使用した後、虫よけ剤を使用するようにしてください。
View39は、一度の採血で39種類のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を調べることが検査です。検査結果まで約1週間かかり、保険が適応される検査です。
吸引系アレルゲン | 食物系 | ||
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室内塵 | ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト1 | 卵 | 卵白、オボムコイド |
動物 | ネコ、イヌ | 牛乳 | ミルク |
昆虫 | ガ、ゴキブリ | 穀類 | 小麦、ソバ、米 |
樹木 | スギ、ヒノキ ハンノキ(属)、シラカンバ(属) |
甲殻類 | エビ、カニ |
草 | カモガヤ、オオアワガエリ | 豆類 | 大豆、ピーナッツ |
雑草 | ブタクサ、ヨモギ | 果物 | キウイ、リンゴ、バナナ |
カビ | アルテルナリア(ススカビ) アスペルギルス(コウジカビ) カンジダ、マラセチア(属) |
魚・肉類 | マグロ、サケ、サバ 鶏肉、牛肉、豚肉 |
その他 | ゴマ |
一度水疱瘡にかかったことがあったり、ワクチン接種をしたことがある方は、水痘帯状疱疹ウイルスが体内に残っています。疲れやストレスで神経節に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化し、一定の神経支配領域に一致した部分で帯状に水疱が出現することを、帯状疱疹と呼びます。
発疹出現数日前から痛みなど知覚異常があり、その後赤みや水疱が出現します。水疱は徐々にかさぶたになり、3週間程度で改善します。
また、帯状疱疹の後遺症として神経痛があげられます。特に皮疹が出現してから内服薬を飲むまでに時間がかかった方や、ご高齢者に多い傾向です。神経痛が残らないように初期治療が大切ですが、残ってしまった場合は内服薬の調整をさせていただきます。
基礎疾患などがあり免疫状態が低下した状態だと、帯状疱疹の皮疹が出現した後、全身に水痘に似た小水疱が出現する場合があります。汎発性帯状疱疹とよばれおり、この場合は抗ウイルス薬の点滴が必要になるため、提携病院を紹介させていただきます。
当院では帯状疱疹ワクチンの接種が可能です。
接種は予約制のためまずは受診をお願い致します。
蜂窩織炎とは、真皮深層から皮下組織にかけて細菌が増殖している状態のことです。何らかの外傷から感染したり、アトピー性皮膚炎や糖尿病といった基礎疾患がある方に多く見られます。
症状としましては、感染部位の皮膚が赤くなり、腫れて熱をもってきます。また発熱、頭痛、悪寒、関節痛といった全身症状を伴う場合もあります。
治療ですが、軽症例では抗生剤の内服を数日間行います。患部や全身の症状によっては点滴が必要になります。また患部を安静に保つこと、保冷剤などで冷やすことも心掛けてください。
うおのめ(鶏眼)やたこ(胼胝)は、主に圧迫や機械的な刺激により一部の角質が肥厚することで発生します。うおのめは押すと痛みを伴います。歩行の仕方や、サイズの合わない靴を履いたり、ヒールの高い靴を履くなどが原因と言われています。
治療法ですが、角層を削る、サリチル酸軟膏塗布を行います。場合によっては液体窒素も併用します。尋常性疣贅(ウイルス性のいぼ)との鑑別が必要な場合もあるため、まずは皮膚科受診をお願いします。
なお、当クリニックでは炭酸ガスレーザーによる胼胝、鶏眼の除去は行っておりません。
粉瘤とはドーム状に隆起した皮膚腫瘍のことで、中心にコメドと呼ばれる黒色の角栓を有しています。表皮の一部が皮膚の中に入り込むことで袋状になり、その内部は角質物質、いわゆる垢のかたまりになっています。その粉瘤に二次感染がおこり、嚢腫壁が破れたりすると発赤、疼痛を伴います。その状態が炎症性粉瘤です。
治療は炎症部位を切開した後、中に貯留した膿を排出します。皮膚の炎症がおさまってから、その後嚢腫壁を摘出する手術を二期的に行いうのが一般的です。
当クリニックでは炎症性粉瘤に対して抗生剤内服や切開・排膿処置を行っています。痛みが強い場合は早めにご相談ください。
尋常性疣贅は、パポバウイルス科のヒト乳頭腫ウイルス(HPVウイルス)による感染で生じます。小さな傷口からウイルスが感染し、皮膚の一部が隆起してきます。放置すると徐々に増大、増数してきます。
治療は主に液体窒素による冷凍凝固を行います。1度でよくなる治療がなかなかないため、根気よく治療することが大切です。
いぼを触った手で他の部位を触ってしまうと、ウイルスが感染してしまい、新たないぼができてしまいます。むやみに手で触らないようにしてください。
足白癬は、通称みずむしと呼ばれています。皮膚糸状菌というカビが繁殖することで生じ、足白癬は白癬症の中でも高い割合を占めています。
白癬症は、顕微鏡で白癬菌を確認することで診断されます。足の皮がめくれていたり、かゆみのある部位のみ抗真菌剤を外用される方が多いですが、足の裏・側面、趾間、アキレス腱周囲にしっかり塗ることが大切です。
爪白癬は、皮膚糸状菌(カビ)が爪の中に感染して生じ、爪が白く濁ったり、もろく崩れやすくなったします。また、足白癬に続発することが多いといわれています。
治療には抗真菌薬を使用します。抗真菌薬は内服薬と外用薬がありますが、それぞれに長所と短所があるため、患者様と相談の上決定させていただきます。
ほくろとは良性の母斑細胞が増殖した腫瘍のことを指し、多様な形態を呈します。診断には、ダーモスコープという機器を使用します。悪性を疑った場合は、提携病院などに紹介させていただきます。
当クリニックではほくろの治療は、保険治療、自費治療を行っています。保険診療が適応となる場合は、局所麻酔下で手術による摘出を行い、病理検査で確定診断を行います。なお医師の判断により当クリニックでは除去できない場合もありますので、予めご了承ください。
完全な美容目的での除去の場合は、自費治療になります。なお、直径1㎝を超えるほくろの場合は、炭酸ガスレーザーの治療後に瘢痕が残りやすいため、あまりお勧めしていません。
脂漏性角化症は別名老人性疣贅と呼ばれ、顔や頭部などの露光部に好発する皮膚腫瘍です。視診やダーモスコープで、診断が比較的可能なことが多いです。
当院では液体窒素療法、炭酸ガスレーザーを用いて治療を行っています。なお、炭酸ガスレーザーは自費診療となります。
ニキビは皮脂の分泌が増加し、毛穴がつまることで始まります。その結果、アクネ杆菌という常在菌が増殖することでニキビが生じます。そのほかにも寝不足やストレス、性ホルモンなど多数の影響を受けます。
当クリニックでは、日本皮膚科学会のガイドラインに沿って治療を行っています。面皰(小さい毛穴のつまり)改善に効果のあるディフェリンゲルのほか、患者様の症状によってベピオゲル、エピデュオゲル、デュアック配合ゲルなどを使い分けています。塗り方や保管の仕方、副作用などもある外用薬のため、パンフレットを用いながら外用の説明をさせていただきます。
乾癬とは、赤い皮疹の上に厚い銀白色の鱗屑(角化細胞が細かく剥がれ落ちたもの)を伴った疾患です。50%程度の方にかゆみが生じ、そのほかにも爪の変形や関節痛を伴う方もいらっしゃいます。
また乾癬はよくなったり悪くなったりを繰り返しながら、慢性の経過をたどることが多いです。視診により診断が可能な場合もありますが、生検(病理検査)での確定診断が必要な場合もございます。
治療はまず、ステロイド外用、ビタミンD3外用から開始します。それでもコントロールが不良な方は、紫外線療法を試みます。当クリニックではターゲット型エキシマライト( ExSys 308(エクシス308))を導入しました。健常部分への紫外線暴露を極力避け、病変部のみに照射できるため、注目されている機器です。ただし照射部位が小さいため、全身に照射をご希望の方には不向きです。
そのほかの治療(免疫抑制剤の内服やレチノイドの内服、生物学的製剤)が適応になる方は、提携病院にご紹介させていただきます。
円形脱毛症は、突然誘因もなく円形状に脱毛斑が出現します。通常は単発性ですが、多発したり融合したりする場合もあります。原因としましては、ストレスや内分泌異常など言われていますが、最近は自己免疫説が有力です。自分のリンパ球が毛根を攻撃し、破壊するといわれています。
また、甲状腺疾患や梅毒、膠原病との合併が知られており、当クリニックでは再発を繰り返す方や脱毛範囲の広い方は積極的に検査をお勧めしています。
治療ですが、ステロイド外用や塩化カルプロ二ウム外用から開始します。そのほかセファランチン、グリチロンといったアレルギー反応を抑制する内服も使用する場合もあります。
また、2020年4月から保険点数改定に伴い、エキシマライトによる光線療法も保険適応となりました。今まで自費診療だったため照射を迷っていた方は、ぜひご相談ください。
原発性腋窩多汗症とは、局所性多汗症の中で明らかな原因がないにも関わらず、両側の腋窩からの発汗が過剰な状態を指します。
両腋窩の過剰な発汗が明らかな原因がないまま6か月以上継続し、以下の6項目の内、2項目以上当てはまる場合、原発性腋窩多汗症と診断します。
治療としては、塩化アルミニウム液外用(自費治療)、A型ボツリヌス毒素(ボトックス)の局所注射、ゲルタイプの薬の外用やシートタイプの薬などの治療方法があります。当院ではラピフォートワイプ(1回使い捨てのシートタイプ)をお勧めしています。
効果が出るまで2週間程度と比較的早く、1日1回の両腋窩へワイプ1枚を用いて塗布することで効果が期待でき、簡便かつ衛生的に使用可能です。また旅行などに持ち運びし易い利点があります。
ラピフォートワイプは9歳以上の患者様に処方が可能であり、今までよりも幅広い年齢の方に対応することが可能となりました。
注意事項 | ボトックスは現在当院での取り扱いがありません。 |
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掌蹠多汗症は、手のひらや足の裏にたくさんの汗をかく症状です。精神的緊張が悪化因子となり、QOL低下につながります。
治療対象となる手のひらや、足の裏を水道水の入った容器の中に20分程度浸し、そこに微弱な電流を流すことにより汗を出す汗腺の分泌部に作用し発汗を抑制させる治療法です(保険適応)。
最初は週に1回で開始し、5、6回ほどで効果が出てくるため、8~10回ほど行い明らかな効果を実感できたら徐々に間隔をあけていき、維持療法に切り替えていきます。(奏効率70%程度)
治療を中止すると元の状態に戻ってしまうため、維持療法が必要となるのが欠点です。ただし、手足の多汗症は年齢とともに自然に治ってくることもあります。
施術中は少しピリピリした感じはありますが電流は調節可能です。
まれにかゆみが生じることがある以外は目立った副作用もなく安全な治療法です。
※手足だけでなく全身の多汗症には内服(プロ・バンサイン錠)による治療法もあります。
ご相談ください。